Book&Beer (&me)

ある受講者(菅付雅信の編集スパルタ塾−第三期−)の記録

5.19. 課題②「tha ltd 中村勇吾氏」

二回目の課題。ゲストは tha ltdの中村勇吾さん。
超売れっ子webクリエイター/デザイナー。

お題は若干変化球なもので、

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「 あなたは、ある活動を、1日1回、10年間にわたって、毎日やり続けるとします。 
そして10年後の最後の日にそれらを統合し、一つの作品とします。
1日1回、どのような活動を行い、最後にそれらをどう統合しますか? 

この活動全体について構想し、プレゼンしてください。
構想する案については、以下の要件を満たしてください。
・自分自身にとって、それが毎日続けていく価値がある行為であること
・出来上がった作品が、単なる10年間の総和以上の意味をもつものとなること

シンプルな例  https://www.youtube.com/watch?v=eRvk5UQY1Js


She Takes A Photo: 6.5 Years | Beckie0 - YouTube


これは映像ですが、映像に限らず、どのような形態の作品でも構いません。
あと、もう例示してしまったので、これと似たようなものはNGです。」
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例示の映像を観て、しばらく考える。。。

ポイントは”統合”だろうな。ここをどう掴むか、ここに勝敗を分けるブラキストン線があるような気がする。

そう思っては断続的にアイデアを書き留めて、まとまらないままに時が過ぐること気づけば提出2日前。
出てくるアイデアの全てが、まことに個人的な日々の営為の積み重ねで、十年後の統合作業で何か特別な価値を帯びる可能性など到底考えられそうもなかった。


とはいえ、例示の作品(女性が毎日ヘアと衣装のメイクを施してスナップショットを撮影し最後に全て繋ぎ合わせてコマ送りにしたもの)が、何か社会性とか普遍性を獲得出来ているだろうか考えてみてもそうも思えなかったので、「これは個人的なものでも可なのだ」と決めつけてしまい、まとめにかかった。そこで勝負は決まってしまったようだ。(なんせスライドの中にも”超個人的”とか云っちゃう有様。。)

冒頭で言った菅付さんの台詞に敗因を確信した。
「今回は、人が見て価値を感じるもの、
  最後に個人を超えた何かが出せてるアイデアを選びました。」

 

 

というわけで、発表さえ叶わなかった今回。
仮に発表ができたとしても、随分お粗末なものになっていたと思う。

個人的な関心事でもある「マインドマップリゾーム的思考」の断片的提案ではありながら、底辺から積み上げた結果、台形にしかならなかったような、頂点が作れていないプレゼンの最たるものになってしまった。ポイントでもある”統合”に華も芸もない。
自分本位で、ほとんどオナニーみたいな提案だ。

いい案が出ないがあまりに、つい例示に引っ張られて大事なことを欠いてしまっていた。
Remember, 社会への提案、他者への志向性


この日の中村勇吾賞は、
「両親の食卓を毎晩写真で記録して、十年分を写真集として納める」という提案をした女性。写真アングルと食卓という場の持つ意味が全ての企画だ。
「毎晩決まった時間になると食卓で顔を合わせる」そのことに改めて大きな価値みたいなものを感じる。家族もの、両親もの、でお涙要求のズルいコンテンツだけど、やっぱりいい、との評価。

個人的に面白かったのは、
毎日の新聞記事に自分のことを一言書き付けることで、社会的な出来事(社会の点)と自分ごと(個人の点)とのギャップを並べる、というもの。
これは菅付さんの「日常的な事にほんとの少しズレを生じさせることで”クリエイティブなツイスト”が生まれる」という講評にも通じる、大人な切り口だと思った。

他にも、「感情ごとに色相で花火を作る」とか、「エモーショナルな揺れで即興ラップを作る」とか、個々の大事にしているものや世界観が垣間見える面白い発表が多かった。