Book&Beer (&me)

ある受講者(菅付雅信の編集スパルタ塾−第三期−)の記録

2.23.課題⑭「ライゾマティクス 齋藤 精一 氏」

早いもので課題やるのもラスト3回!

 

今回のゲストは、ライゾマティクスの齋藤精一さん。

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インタラクティブでハイパーメディアなこういうお仕事が多い、この分野ではトップの集団のリーダーです。

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Perfumeのハイパーなライブ演出はライゾマなしではあり得ない!)

 

僕は、10年くらい前(ポリリズムくらいか)からPerfumeにハマって、すぐP.T.A.(パフュファン倶楽部。当時は特典があまりにショボかったのですぐ辞めた)に加入して以来、かなりパフュライブにも行っているので、ライゾマさんのハイパーなお仕事には、一ファンとして熱狂しつつ、ずーっと拝見させていただいておりました。

 

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(昨年の武道館ライブ。かしゆか、のっちが好きな「マサルさん」Tシャツで参戦)

 

 Perfumeのことテレビでしか見たことない人には、一回はライブに行ってもらいたいですよねー。もうほんとにいままでのこういった類のライブで体験したことのない境地がそこにある!って感じです。癖になる。ライブ経験者のリピート率は高いと思う。

まあ、これって落語にも言えることなんですけどね(しかも寄席ではなくて独演会、志の輔らくごとか特に..)。

とはいえ、おばあちゃんびっくりしちゃうくらい四つ打ちどっかんどっかんのテクノなんで、お年寄りや心臓悪い人はやめたほうがいいけど。。

 

で、この方からのお題が、

「デジタル技術を使って海外からの旅行者を日本の様々な場所に旅行分散させる方法を考えよ」

 

 インバウンドものがやたらと多い今期のスパルタ塾。

今回も、あえてということでしょう。

 

「デジタル技術」と「旅行者分散」を用いてってお題なわけだから、アウトプットの方向性としては限定的かな。

 

日本各地にある”資源”を巧く面白く見せることで、モチベーションとするか。

それか、コンテンツを日本各地にこしらえて、それを来訪の目的とするか。

 

うーん、まずゲームを考えた。

あるいはゲーミフィケーションの手法。

小さい頃にやったRPGって、否応なしに世界のあちこちを経由し、移動させられる。

地図を見て、人に話を聞いてヒントを求め、鍵になるアイテムを手に入れ、他人の事情に巻き込まれて、誰かを救う。


そんなゲーム的マナーの中で、ある種の観光サーガを仕立てられたら面白いんじゃないか。

でも、打ち消した。

リアルでしねーよ、そんなこと。

僕のなかのリアリストがそう耳打ちしたんです。

まあ、あんまり面白い物語とリアルとの交感がイメージとして湧いてこなかったというのが本当のところだけれど。

 

で、やっぱりライゾマ的にいうと、インタラクティブの他に、ライティングプログラミングテクノロジーとか、そっちだべそっちだべ。というところで簡単にまとめてしまった。

 

キーワードは「祭りの風情」、「屋台」、「ライティング」!

 

 

齋藤さんからは、

「デジタルと祭っていうのはすごく相性がいいなあと思っていて、ねぶた祭りのお手伝いさせてもらった地元の人も喜んでくれたんです。考え方の一つとして、東京の銀座で、全国のお祭りみたいなものをインデックス的にカタログ的にやれたら、すごいな面白いなとなれば各地に行くことになると思う。」

 

菅付さんからは、

「一個一個は面白いんだけど、これって先に東京でやれちゃうような気がする。地方の前に、東京でやっちゃいそうなところが危ないところだよね。例えば、花火大会をこんなに各地でやる国もないと思うので、この花火大会をなんとかしたほうがいいんじゃないかあとか思って。各地方の個性があったり、さらにプロジェクションマッピングでハイブリッドに掛け合わせていたり。地方だから違うんだよ、ということをより強調できたら良かったと思う。」

 

うん知ってる。こういう雰囲気知ってる。

たぶん、ひねり具合やコンテンツの爆発力に足りなかったんだと思う。

だってどこかくすぐられる面白さがあったら(琴線のどこかの弦にじゃかじゃーんと引っかかれば)、「地方ならではの何かが欲しかった」とか言われないもんなあ。


そこには、意外性とか企画的馬鹿さとか試みが足りなかった。

 

今回の受賞は、誰も行ったことがない土地を可視化する「Unexployer」というアプリを提案した広告会社の彼。

「これまでのようにデジタルが華美で派手なプロモーションを作り出すツールから、デジタルが裏方に回るようになる」という齋藤さんの触感。その辺のシフトがうまく捉えられていたという。

 

そこらへんは意識してなかった。

本来あたしが気づかなければいけない、表象文化論の領域なんだけれど。

 

 

2.9. 課題⑬「クックパッド株式会社 松浦弥太郎 氏」


課題、13個目。

【課題】クックパッドユーザーである40代主婦の暮らしを助ける新しいサービス
を提案する。



「暮らしの手帖」編集長だった松浦弥太郎さんが、クックパッドに電撃移籍して
初めての登場。



うーん、40代主婦の暮らしを助ける新サービス。

「40代主婦の暮らし」であって「40代女性の暮らし」じゃないから、想定領域は限定的。
例えば、炊事、洗濯、掃除、子育てらへん。さらにそこに対してクックパッド的アプローチとなると、他の受講生と大いにかぶる可能性が高いことが予想された。

で、課題も13個目ともなると、
みんな課題の意図するところに正面から向き合わないようになってくる。

つまり、聞かれていることから巧みに角度を換えて、提案をズラすテクニックを培ってくる
というより、考えているうちに微妙にズレいってしまうというのが実態だと思うけれど。

語弊はあるけれど、あまり正面から受けとめない方がいいとさえ思うようになる。

課題の問いを真正面から受けて応える回答は、ありきたりで発想力に乏しいものが多いから
(そんなものは既に先人たちによって事業化されてたりするから)。


いずれにせよ重要なのは、テーマに関する本質的な問いがあること着想にツイストがあることだ。


ここはひとつ、スパルタ塾の鉄則②「近いところを掘れ」という示し通り行くのなら、
クックパッドの本領である炊事、食べることに関するサービスで思案する。

あるいは、掃除ジャンルは他からも一番多く案が出てくるだろうから外し、子育てジャンルで行くか。

それとも「働く40代主婦」という、「40代主婦」からさらに細かく措定して、よりターゲットに絞っていくか...

いま40代女性にとって切実に必要な何か。暮らしって、毎日を生きることだから、その毎日をサポートするとしたら何があるか。

あるいは、「暮らし」という言葉を広くとって、それを助ける、より豊かにするみたいな何か。

思案しましたです。
 
 
 


 


松浦さん「癒されるし現実逃避も必要だよね。この提案 どこに新しさがあるのかなあ。新しい提案があるかどうか。それを考えていた。ザビューティーってね、飽きるんですよ。そこを念頭に入れて考えた方がいいと思う」

菅付さん「わりとふわっとして漠っとしてる印象。どう2016年にやる必要があるのか。2016年にお金払って見たい切実感みたいなものを落とし込まないともやもやっとしたものになっちゃう。あと、古典的なものの美しさって超退屈なんですよ。あのときは刺激的だったものも、いまみるとすごく退屈。美しいものはこういうものだって固定概念ってものすごく人の頭を退屈にする。そこは疑ってかからないと今のフックは誰もかかってこなくなる。


今回の受賞者は、「寝る前の3分」にちょっとした幸せを提供できるようなWEBサイトでした。
着眼点、一点突破の誉れ強さ。



以下は松浦さんのお話より、テストに出そうなところ。


CGMサービスっていうのは、ユーザーに投稿の負担を強いる。
投稿の負担を和らげるサービス(例えば下書きを用意してあげるとか、、)がと
ても重要。

 

料理のレシピって伝承です。
人の真似を認めるってこと。

 

 

1.26.課題⑫「株式会社HAKUHODO DESIGN代表取締役社長 永井一史 氏」

年明ける。12個目の課題。

 

「東京のブランディングを促進する、インバウンドを中心としたメディア案を提示せよ」

 


東京のブランディングインバウンド

メディア案って何だっけ?


広告の企画や表現ではなく、どんなメディアでどう訴求するかを旨とせよってことか。

 

どうしたって東京の魅力を考えるのが先だと思った。
そっから始めないと”うそだ”とさえ思った。

 

東京をどう見られたいのか?他の世界都市とどう差別できるのか?という考察からはじめたが肝心のメディアアイデアでピコーン!というのが出てこなかった。

なるべくアプリとかWEBサイト案は嫌だった(いや気持ちとして)。

古風で素朴な感じのするマテリアルなものが良かった。

なんかいいひねりがそのうち出るだろうと放置してたら〆切まで出てこなかった。
そのとき、このお題が難しいことがわかった。


どの人の提案も、的に当たらずかすめていったような印象だ。

もちろん自分のものも。 

 

 

永井さんいわく、
「おもてなし」に持っていくには、ストーリーの組み立てがあまり良くなかったかもしれない。「予習をすると旅は深くなる」みたいなそういう切り口から深堀りした方が面白かったかも。あと、おもてなしのもう少しディティールと視点があれば良かったかもしれない。ここがサラッとしすぎてアイデアが消化されてないように感じる。

 

仰るとおりだ。

今回は、あまりに形にならなかった。

自分の中でなかなか妙案が出なかったので、前提部分のパートだけ作っておいて放っておいたものの、何も出ませんでしたという赤点解答。お恥ずかしい限り。


ここで僕が言いたかったのは ”おもてなし” じゃなかった。この国の文化慣習や習俗を含めたいいところ、日本人の心性というか文化人類学的にコアにある部分を、巧い表現が出なかった。言葉が作れなかった。だから「精神的な部分(もてなし)」と書いてしまう。書きながら懸念したことだけれど、やはり「おもてなし」というフレーズを使うべきではなかった。「おもてなし」ではなく「もてなし」にしたのは、薄々そのタームを使うことへの忌避が現れているが、やはり混同されてしまった。しっかり説明できなかったこちらの落ち度でもある。

 人は、言葉とそのイメージに引っ張られる。誰かに何かを伝えようという時に、使用する言葉に付託するイメージを避けるためには、安易に使い古されたタームに手を出すべきではないんだ。

  

 今回受賞したのは、観光地での音声ガイドとコンビにでの地図プリントという提案。
例えば観光地でも歴史的建築なんかはどこも画一的なイメージで、ヨーロッパじゃどの教会は入っても同じに見える。京都ではどのお寺入っても同じ感じでわからない。だから音声ガイドでその観光施設の妙やストーリーを解説するというもの。

 他の人の提案にはない着想とあったらいいな感。ん?でもこれってビジネスコンペだったっけ?そこに東京のブランディング観ってあるのか?

少々面食らったのは、ブランディングメイキングの権威みたいな人が、ブランディング見地を少しも語らずにただのビジネスアイデアを見るだけになっているような気がした点。やや拍子抜けだった。

12.8. 課題⑪「PARTY代表/クリエイティヴ・ディレクター 伊藤 直樹 氏」

 

年内最後の課題。 

【課題】「2020年の東京オリンピックに向けても向けなくても、今年だけで訪日外国人の数が1500万人に達しようとしています。英会話が苦手な日本にやってくる外国人が空港や駅、タクシーなどの交通機関で滞りなくスムースに利用できる環境づくりは急務です。

1964年の東京オリンピックではそんな日本人のためにピクトグラムが開発されて以降、世界的にその価値が高まったとも言われています。

日本にあるいずれかの交通機関での環境づくりのアイデアを、言語的、非言語的のいずれかのアプローチで考えて発表してください。交通機関は、飛行機、船、電車、駅、自動車、タクシー、高速道路、自動運転、次世代交通システムなど、すべてが対象で良いかと思います。

ちなみにPARTYが手がけた成田空港第3ターミナルのデザインは、わかりやすいサイン導線として、非言語的なアプローチとして陸上トラックを導入しました。」

 

 

いま現在日本人である私たちが感じている交通機関への不満や難点を切り口に、外国人観光客にとっての利便性やホスピタリティを考えてみた。


とはいえ、あんまりないかなあと逆に悩んでしまう。

東京への一極集中に起因する鉄道機関のラッシュとか交通渋滞とか、道路経路計画(あるいは都市計画か)のマズさはもう既に存在しているハードの現況からいってどうしようもないことが多い。

利用者目線でもすこし細かく見てみよう。

何か改善すべき小さな声があるはずだ。


今回は、課題の切り口を日常で標準化してたまに思い返すようにして(つまり交通機関利用時に普段よりも余計に情報量を読み取って)、アイデア出しに関してはタイムプレッシャーを利用して、かなり時間を抑えた。仕事脳育成TAKUMAメソッドと名付けよう(流行らなそー)。

 


伊藤さん曰く、「2つ目の漆黒の闇底ゾーン、こういうのは面白いと思う。アフォーダンスって言葉があると思うんだけど、人間の心理として、こういうものがあるとここを空けざるを得ないという、一見サインじゃないけどかなりサインとしての機能があるのかな。私がやった成田第三ターミナルでも、あの青いトラックの上で立ち止まって立ち話してる人ほんとにいないんですよ。要はあそこは歩くものであるというものすごい脅迫されてる感じというのがすごくあって人間て不思議なんですよね。だからここは歩くな!と書くよりも、これいわゆる”仕立て”だと思うんですけど、そういう意味でアイデアとして面白いなと思いました。
 あと3つ目のヘルプドルフィンですが、人工知能が活躍する場はあり得ていると思っていて僕らも人工知能の開発と導入についてかなりコミットして仕事しています。ここであるような困っている人が立ち止まる場所というのは助ける場というのは、将来的に人工知能が活躍する場としてはあり得る案だなあと思いました。なので、アイデア一つ一つはキラリと光るものがあったと思います」。あざす!

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菅付さんは「僕も2つ目と3つ目が面白いなと思いました。困ってる人を可視化してのがすごく視点としていいなと思いました。ここからもう一段発展していく可能性があるなあと思いました」とのことでした。あざす!
 
 
で、今回のグランプリは、「”英語が出来る”とか”○○語が出来る”というネームサインを貼付けて、言語ヘルパーを可視化する」という主旨の似たアイデアを訴えた4人による同時受賞だった。「これだけ複数の人がたどり着いたアイデアには必然性とか必要といった何かしらのものがあるんだ」という理屈。(にしたって4人はズルい。もうルール変わってるし)
 
とはいえ、自分自身の提案も振り返っても、贔屓目にみて小粒でキラリ程度。
突き抜けたブレイクスルーであったり、何らかのクリエイティブツイストが自ら見出せなかった回は、勝負しに来た感じがしない。とりわけ出題者との勝負に。
 

11.24. 課題⑩「風とロック社 クリエイティヴ・ディレクター 箭内 道彦 氏」

課題は10個め。思えば遠くに来たもんだ。

【課題】二つの課題は、二つともやってもらってもいいですしどちらかを選択しても良いとのことです。

①「チャーミングな、異の唱え方を考えよ」
何かに異を唱えてください。チャーミングに。
唱えられた対象も思わず納得してしまうような、外側の人たちも好感を持って巻き込まれてしまうようなそんな方法を考えてください。
異を唱える対象は、あなたが自由に選んでください。何でもいいです。たとえば、総理大臣にでも、友達にでも、2020年の東京にでも、原発にでも、野球にでも。

②「箭内道彦が渋谷に開局させるコミュニティFMの番組企画」
既存のラジオ局が過去にやっておらず、低予算 低ハードル 少労力で人気番組となるものを。優秀作は採用します。

 

個人的には、自分の提案に対して人から「それ見たことある」「過去にやっていた」みたいに言われるのを一番恐れているようなところがある。

とすると、②は出来ないなという選択に至る。

ラジオをほとんど聞かないし、(ラジオの良さとかコアなファンがいるのは何故かということはわかっている気がするけれど)どういう面白いものがあるのか絶対量として知らな過ぎるから。

 

この週は、友人の式に参加するため、木曜午前半休とって成田からホノルルへ。

機内とワイキキのカフェでのアイデア消化のため、提案としては軽く、いささか浮わっついていたかもしれない。

でも、出された問いには忠実に臨んだ。とくにこの部分。

異を唱える対象は、あなたが自由に選んでください。何でもいいです。たとえば、総理大臣にでも、友達にでも、2020年の東京にでも、原発にでも、野球にでも。


つまり、異を唱える対象は、個々で設定出来る。しかもそのレベルは原発から友人まで千差万別だ。社会変革から極めてパーソナルな事柄にまで開けてるはずだ。

 

世界はそう簡単に変わらないが、しかし少しずつでも動かすことは可能だ。(ガンジー曰く「あなたが社会に変えられないために変化を志向し続けるのだ」うんぬんの境地だ)、というのが30過ぎての感覚値なので いたずらな変化の標榜はしたくなかった。パフォーマンスで終わってしまえばただのばか騒ぎか気休めだし、オナニーにしかならない。

 

 

発表後の講評では

箭内さん「読み物として楽しかった。一個とか二個だと提案止まりなんだけど、こういう社会だったらいいなあと思いました」

 菅付さん「ショートコントだよね。方法論じゃなかった、一個一個はクスクス面白いけれど、それを方法論として昇華して欲しかった」

 

 

チャーミングのシーン集。確かにそうだったかもしれない。

しかし、「異をとなえてください」という出題ではなかったか?

その異の唱えかたを方法論として確立したり、大衆にコミットさせるための商品化するまでの必要があったのか?そこに課題意識に対する切実さはあるのか。

 

変化を可能にするのは個人の志向性だし、その萌芽は生活の細部にしかないと思っているので、その辺りをまともに受け止めてもらえなかった気がして残念だった。

 

 

「あなたがすることのほとんどは無意味であるが、それでもしなくてはならない。そうしたことをするのは、世界を変えるためでなく、世界によって自分が変えられないようにするためである。(M.gandhi)」

 

 

11.10. 課題⑨「電通 クリエイディブディレクター高崎卓馬氏」

課題9つ目。今回の課題は、

 「東京を海外の人に宣伝するためのWEB動画を考える」
課題提出はパワポですが、必ず、企画の内容と絵コンテを付けてください。 「(WEB動画の)理想は1分。長くても3分。」を基本に考えてください。

 

うむ~。

以下、プロセスで思い浮かんだことを羅列。


ロランバルト「この都市は中心を持っている。しかし空虚な中心である。」

→だめだ、ロランバルトから始めたんじゃ、うまく着地できる気がしない。


タランティーノにCMを撮らせる。

→本どうすんだ。丸投げじゃ企画にならない


中沢新一「アースダイバー」的視点で、縄文から続く土地の記憶を現前させる

→これまでそんな映像見たことないのは、あの世界観を視覚化できる天才が現れてないから。イメージに難いそんなものをコンテで扱ったら、みんなでぽかーん必至。

 

外国スパイが本国に東京の視察情報を報告する体でとんでも分析を

→全編説明になっちゃうんだよなー しかもそういうCM多いよなー

 

「日本人は、切腹しません。」 とか、

「礼を重んじる日本では、お手洗いでトイレットペーパーの端を三角にして出ます」とか浮かんだコピーも、東京の象徴としてのストーリーに落としこめず。。

 


とか考えながら出来上がったのが こちら。

 

 

結局、発表はしたものの

「東京の魅力はあれもあるし、これもある」って絞り切れなかったのが敗因。

とはいえ、東京の差別化を可能にする1シーンを取り上げて料理してそれでクライアントOK出るのだろうか」とか妙に広告会社仕事のリアリティを持って臨んでしまった。


これは塾であり、出されているのは課題で、求められているのは企画の切り口とか断片なのだ。社会的な常識に照らして、イメージの拡張に制限を設けてしまう。これはもはや性分である。っていってもこんなん実際の企画として通りっこないでしょう〜、ってブレーキかけちゃう。

 

ということで、いくつかの観光資源を縦串で通してオムニバス形式にするのは極力避けようと意識していたものの、ふたを開けてみればやはり予定調和からは逃れられなかった。

 

で毎回気づかされるのが、己の偽ざる真面目さ。

アウトプットとして出てきたものに、自分の真面目さを痛感する。

凡庸であるとか、画一的である以前に、やはり真面目さを抜ききれていないのだ。


なぜだ!なぜなんだ!

あんなにも憎み続けてきた真面目さ!

人間としては、こんなにもフザけてるのに。。

昨日だって、仕事中にうんこのスライムで遊んでて部長に怒られたのに。

内面から、A型家系ゆえの真面目さがにじみ出てしまう!

 

高崎さんからは、「人にぶつかるという前段がほんとにタックルになるってダジャレじゃん。東京の人との触れあう接点というところですごく期待したんですが。企画趣旨もコピーもダブルでダジャレにはなってるなとは思うんですけど、ダジャレって強引なところがあるので、実際外国人が来たらぶつかろうってなるか考えるとぶつからないですよね。おもしろでいくならおもしろで、おもしろくする方法はまだあるような。タックルされて次もタックルって繰り返しだとやはり予定調和になってしまう。タックルする、タックルする、タックルしないとか裏切りを入れないとね。」


「たとえば、東京という舞台を使わずに東京の良さを描くという制約を与えると途端に楽しくなったりする。そうやって負荷を与える、制約が与えられると、みんな東京のシーンを使って表現を考えるなかで、一人だけ制約があると人とは違うものが出来る。イデアって制約から生まれることがある。制約を最初に見つけるとすごく楽になる

 

菅付さんからは、

「これは完全にお笑いネタと受け止めて見たんですけど、すごく無理がある。その無理をうまく消化で出来ていればいいのかなあ。いまひとつラグビーにする根拠の弱さみたいなものを感じたんで、そこをほんとに、これ冗談です、と吹っ切れているものになってるとよかったのかな。ひとつだけ、今回みんな真面目な表現が多い中で、ジョークに挑戦してるところは評価する」とぞ。 



他の発表者のプレゼンを見ていて思う。

具体的な提案の前段、課題認識と問題設定の段階でものすごいインスピレーションを受ける切り口がしばしばあった。それを聞いた時点で「ダメだ今回はこの人に持ってかれたな」と思ってしまうほどだが、それがアウトプットまで落ちていないケースが多い。

この点は自分自身の提案にも言える。

つまり、自分で鉱脈をなぞりながら、そこにまだ気づけてないという状況。

なんてこった。

 

高崎さんは、ほんとのプロでした。
自分の仕事への矜持と信念で、どんなときでも仕事脳をしている人だった。
こういう人が、一番先頭を走っているのは納得するし、見習わなければならない。

 

10.20. 課題⑧「GINZA編集長 中島敏子氏」

課題8つ目。
ゲストは GINZA編集長の中島敏子さん。

課題は、「『GINZA』の新しい定例ページの企画を考えよ」 です。今の定例をガラリと変えるとしたら、どういう書き手/コントリビューターでどういう企画がふさわしいか提出してもらいます。

 


えーと、あれ?

これ、今回、問題理解してなかったかも。。。

しかも当日までそのことに気づいてなかったかも。

だって提出したのは、書き手もコントリビューターもいない、コンセプトとカットだけの提案。

大胆不敵過ぎる。。

言わんこっちゃない。発表さえ叶わなかった。

とはいえこのままだと少し怖いので(人生の局面の大事な選択をも間違いそうな気がするので)、検証してみよう。

 

一体どぼじでこんな提案になったのか。

(以下すいませんが自分語りです)


1.現状や現実に対して、過度な変革志向がある
 なんか、いろいろ変えたいようです。どこに行っても出しゃばりなくせしてアンチテーゼ担当。アンエスタブリッシュメント。いや、現状維持で良けりゃいいんです。でもたいていそうじゃない。変えたいってみんな思ってる。つうか変えず(変わらず)にただ座すれば死あるのみ。でも人も組織もなかなか変わらない。人は簡単には状況を変えられない。だったらせめて声上げようよ。変えようって旗振ろうよ、って魂のあり方が、しばしば出てきちゃうんです。だから今回ここでも変えたいとか思っちゃった。今回の課題設問の「定例をガラリと変えるとしたら」に反応しちゃう。こっちを中心に考えちゃった。


2.自己模倣から逃れたかった
 とかカッコつけたこと言ってただ飽きただけ。自分のアウトプットまでのフローやプロセスに飽きてきた。だから変えたかった。ずっと髪をロングに伸ばしてきた女の子が、ばっさりショートにしたときみたいなきまぐれな大胆さで。だから今回は3つ目の工程くらいからやった。3つ目とは何か。3つ目とは、自分にとっての日常を「ズラす」こと。


3.誤解はある。だがチェックはない。
 普段から仕事で、「いやマジでブラウザ上で見てないで、プリントアウトして
ちゃんと直ってるかチェックしろよー」とか自分で言ってるくせに、それをやってない
のも自分。クオリティ点検の欠如。これってどういうこと?この提案ってここでどういうこと?っていうのが意識されてない、ほんとに。あと、トンマナチェックにはしばしば悩まされる。しかも前の変革志向が前に出てくると、新しいものの探求という作業の前にトンマナセンサーは沈黙しがちだから。


ほんと雑誌の定例って、
何のことだと思ってたんだろう。


特集でない後ろの方にあるああいうやつ、ってことはしっかり認識してたんだけど、、、
もっと定義して進めるべきだった。

この点について、中島編集長も講義中に端的に表現していた。

 

「定例って、べつにファッション関係なくていいんです。リニューアルする時なんかは定例から考える。定例が雑誌のトンマナを作るから。」

 

そ、 そ、そーだったのかーっつ!!!


にわかに思い出した。作りながらこう考えてたんだ。

とはいえファッション誌の本質みたいなものをコアにして作案しないと課題として意味なくねえか?だって、トンマナ合わせて連載コーナーっぽいもの作るだけじゃあ、それってただのチャンネル合わせじゃん。

くらいのことを。。。(生意気なやつだ。)


問いの本質を見極めるべきだった。

今回の課題は言うならば、月島に行ってもんじゃでなくお好み焼きを食べてきなさい みたいな、そんな設問だったんだ(大丈夫かこの例え)。

 

つまり、

チャンネル合わせろ → トンマナ合わせてうちのコーナー考えろ

か。

 

ううう、不覚。

つうか、もったいない。

 

 

  




今回は菅付さんの講評も、熱かった。

至言や本質的なことが多かったので、2つだけ抜書きしておく。

 

課題が出たら、仮にあなたが読者じゃなくてもイタコになって欲しい。
コンテクストを自分の中にしっかり入れて提案を考えて欲しい。

 

自分の提案のテーマとプランのリンケージが悪い場合、テーマを捨てちゃっても
いい。(大切なのは具体的なプランだから)

 

 

朝夕の風が冷たくなってきた。

今年も残すところ、あとふた月だ。